この原稿はRA千葉会報5月号から転載しました。
皆さんはどのようにお感じになりますか。
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寄稿 「RAは審判の絆」 RA東京会長 長坂幸夫
表題に審判の絆と書きましたが、絆は2011年の世相を表す漢字として、
全国から募った漢字の中から日本漢字学会によって選ばれ
恒例の京都清水寺の森 清範 管主によって大書されました。
絆が選ばれたのは、忘れもしない3.11東日本大地震が日本人が忘れていた
「人と人のつながりの大切さ」を呼び起こしたことと
「なでしこジャパンW杯優勝の原動力となったチームワーク」が、その理由とされています。
絆という漢字を見ると糸へんに半を組み合わせたものになっています。
これは細い糸が半分ずつより合わせられると丈夫な綱となることを表しています。
本来、絆は「馬や犬、鷹など動物をつなぎとめる綱」であったのですが、
今は「家族、友人などの結びつきを固くつなぎとめているもの」という意味で使われています。
つまり、夫婦の絆、家族の絆、親子の絆、郷土の絆、チームメイトの絆というように人と人との心のつながりを表す言葉となっています。
3.11の東日本大震災と巨大津波はかけがいのない多くの人たちの命、家、財産、故郷などを奪い去ったのですが、私たちが忘れていた「日本人の心の絆」の存在を改めて呼び起こしたと言えます。
さて、東京都サッカー審判協会は今から16年前の1996年に設立されたのですが、
その時に掲げられた標語は「審判委員会が“縦の組織”ならば、審判協会は審判員仲間による自由で柔軟な“横の組織”です」というものでした。
この基本理念は2007年3月にNPO法人となった現在も引き継がれているものです。
審判委員会は傘下の審判員をしっかりと管理しなければなりません。
このことなしには審判委員会の役割はなくなります。
これを別の言い方をすれば審判委員会は審判員を管理する“手綱”握っている、審判員は“手綱”を審判委員会に預けているということになります。
これが“縦の組織”ということなのです。
実は、この手綱は太い時もあり細くもなる、丈夫な時もあり弱い時もあります。
時には切れる場合もあるのが特質なのです。
Referees’ Associationの Associateは
「人を結びつける、仲間に加えるということから仲間、同僚、友人」という意味があります。
ここに審判員仲間が作る自由で柔軟な”横の組織“という特色が生まれ、
審判員をつなぐものはただ一つ心の絆なのです。
仲間、同僚、友人、には常に支え合い、助け合うという人間関係が生まれます。
サッカーの母国、英国に誕生したReferees’ Associationのもつ偉大な意義がここにあったと考えます。
審判員のすべての人は若い時にあった縦の組織の「太い手綱」はやがては細く弱くなり失われていくものです。
そして手綱のもとで作られた筈の仲間たちはやがて離ればなれとなっていくのです。
そのような時、横の組織の絆はしっかりとつながっていて、審判員仲間であり続けることが出来るのです。
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